RCCラジオ505 福音放送 「世の光」ニュース 2020年5月20日発行211号
中国地方放送伝道協力会
「涙とともに種をまく者に」
日本ホ-リネス教団・広島キリスト教会牧師 和田忠三
『涙とともに種を蒔く者は、喜び叫びながら刈り取る。』 詩篇126篇5節
この聖句から、改めて「種をまく事の大切さ」を教えられます。いかに優秀であっても、いかに優れた計画でも、実際に種をまかない限りは、収穫は得られないのです。
農家に生まれたわたしは、幼い時から、黙々と働く両親を見ながら育ちました。朝早くから夜遅くまで額に汗して働き、時には土間で夜なべ作業もしていました。時には降り続く雨に悩まされ、時には灼熱の太陽にさらされながらも、黙々と働き続けていました。
作物が実る過程においては、天候に大きく作用されます。また、害虫によって途中で枯れてしまったり、途中で鳥や動物に食べられてしまったりした事も度々ありました。そうしたショックを受けながらも、両親は諦めないで、黙々と働いていました。
途中からは手伝わされるようになり、肉体労働ですからキツく、「いやだな」と何度も思ったことでした。しかし両親は、雨の日も、風の日も、日照りの中も、たゆむことなく働き続けていました。
そして訪れた収穫の日。それは、「苦労が実った喜びの日」であり、両親の満足げな表情が、子どもにとっては一番の御馳走であり、喜びでした。
福音放送の働きは、農家の収穫を求めての働きよりも、はるかに難しい面があります。農家の場合は、蒔いた種が芽を出し、育って行くのを目にする事ができます。ですから、実りを妨げる様々な事柄に対して、必要な手立てを講じる事ができます。
しかし放送伝道の場合、視聴者が連絡して下さらない限り、どなたが聞いておられるのかが分かりません。作物であれば、その成長状態を確認でき、成長の妨げに対して必要な手立てを講じる事ができますが、どなたかが分からないのですから、その方にとっての信仰の妨げを知ることができず、取り除くことはできません。
しかし福音放送は、不特定多数の方に同時に一瞬にして、福音の種を植え付ける事ができる素晴らしい働きなのです。中々教会の門を潜ることができない方や、行きたくても近くに教会が無い方や、身体面から行く事のできない方などに対しても、提供する事ができているのです。
多くの収穫が可能なのです。そのためには、涙の祈りと労苦と、何よりも主への信頼が絶対条件です。「人々の救い」こそが主の御心なのですから。実を結ばせて下さる主に信頼して、わたしたちにできる事として、福音の種を蒔き続けましょう。