2021年11月号「福音には人の心を揺さぶる力がある」日本バプテスト同盟向島キリスト教会牧師 大谷孝志

2021年11月20日発行220号

『したがって、信仰は聞くことによるのであり、聞くことはキリストの言葉から来るのである。しかしわたしは言う、彼らには聞えなかったのであろうか。否、むしろ「その声は全地にひびきわたり、その言葉は世界のはてにまで及んだ。」』   (ローマ人への手紙10章17,18節)

 放送伝道で思い出すのは、今から半世紀も前のことです。私が神学生として奉仕していた教会の特別集会に、日本人宣教師が招かれて、太平洋放送協会の南米での働きについて説教しました。その集会に出た青年が、次週の礼拝前に教会の牧師に「先生、主は生きて働いておられますね」と感激して話し掛けたのを、今でも鮮明に思い出します。その宣教師の報告に現された「福音に生きた証し」が彼の心を揺り動かしたのです。私は、福音を聞いた素晴らしさを素直に表現した青年の叫びに似た言葉に深く感動しました。世の人々に福音を届けるなら、このように人の心を揺り動かす出来事が起きるのだとの思いが、若い私の心に深く刻まれました。

福音にはそれだけの力があります。その力をより広く、より多くの人々に伝えるものの一つがこの放送伝道という手段です。今も各地で、主がこの手段を用い、豊かな実を結ばせておられます。多くの働き人が起こされ、その人々の言葉を通して、多くの人々に信仰の喜びが伝えられ続けています。主が「ひとりも滅びることがなく、すべての者が悔改めに至ることを望み、あなたがたに対してながく忍耐しておられるのである(Ⅱペテロ3:9)」に示された主の暖かく切なる思いを、自分への御言葉と受け止めているからです。それが起きている事こそ、主が一人一人の内に生きて働いておられることのしるしではないでしょうか。主は一人でも多くの人が、困難な状況の中にあっても、希望と喜びをもって、安心し、生き生きと生きるようになることを望んでおられます。

『イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変ることがない。』 ヘブル人手紙13章8節