2021年5月号 ローマ5:3~4 広島YMCA総主事 殿納隆義

2021年5月20日発行217号

「わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むという事を。」(ローマの信徒への手紙 5章3節~4節)

 昨年のちょうど今頃は、新型コロナウイルスの感染拡大により、政府から緊急事態宣言が発出され、生活の維持に必要な場合を除いて外出の自粛をはじめ、感染の防止に必要な様々な協力要請が出されました。人と人との接触を極力避けるため、出勤者の7割削減、テレワークの推奨、学校の休校や、百貨店や映画館など多くの人が集まる施設の使用制限などの要請や指示が多く出され、これまでの日常とは打って変わり、私たちが今までに経験したことが無い、目に見えない恐怖の中で、息をひそめながら毎日を過ごすことになりました。

 そのような中、新型コロナウイルスは海外から拡大したこともあり、日本で暮らす留学生たちは、不寛容なまなざしや言動にさらされる事態にもなり、また、学ぶことも帰ることも働くこともできない状況の中で、急激に生活が困窮し、不安を訴える学生が続出しました。広島YMCAで日本語を学ぶ留学生も同様でしたが、彼らの窮状を知り、多くの方々に支援を求めたところ、学校関係者のみならず、広島市域、広島県内の多くの方々、企業の皆様から寄付金やお米、食料品やマスクなど、支援の手が差し延べられ、彼らの生活を守ることができました。  

異国の地で大変心細い思いをしていた留学生に対し、他人ごとではない、自分にできることがあればと寄せられた数多くの善意を前に、マタイによる福音書25章40節にある「最も小さい者(弱い者)の一人にしたのは、わたしにしてくれたこと」という聖句を思わずにいられませんでした。

 新型コロナウイルスの感染拡大は収まらず、変異種の感染が再び急拡大し、第4波が始まったと複数の専門家が警鐘を鳴らしています。三密(密閉・密集・密接)の回避が求められ、教会の礼拝も新しい生活様式のもとで始まっていますが、ワクチン接種が進まない現状においては、なかなか礼拝に出席することが難しい方も多いのではないでしょうか。教会に足を運ぶことができないとしても、皆さんがいらっしゃる場所で神様の御言葉に触れることはできます。ラジオ番組「世の光」を通じて毎朝心を豊かにしてください。コロナ禍の苦難を耐え忍んだ先には、必ず希望がまっていることを信じて祈ります。